抄録
重症下肢虚血(CLI)に対しては下肢血流改善のための血行再建治療が必須である.血行再建治療としては血管内治療や外科的バイパス術が行われるが,特に透析患者の下腿病変に対する血行再建は治療後早期の再狭窄や再閉塞が多い.この問題に関し,我々の施設でCLI 透析患者を対象に血管内治療(EVT)単独とEVT + LDL アフェレシスのハイブリッド治療を行い比較検討した結果,EVT + LDL アフェレシスのハイブリッド治療は透析患者の下腿病変の再狭窄予防に有効である可能性が示唆された.狭窄血管の拡張や血流改善を目的とした局所的血行再建治療のみでなく,血液レオロジー改善効果や抗炎症効果を有する全身的治療としてのLDL アフェレシスをEVTとハイブリッドで行うことで,CLI 患者の下肢虚血改善におけるEVT,LDL アフェレシスそれぞれの治療の相乗的効果が期待され,今後さらに試みられるべき治療と考えられた.