日本下肢救済・足病学会誌
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特集:救肢のための非血行再建療法 -血行再建不可能症例・血行再建後遷延する創傷治癒遅延に対する追加治療・今後期待される治療-
重症下肢虚血の創傷治療における局所陰圧閉鎖療法のエビデンス: Journal of Tissue Viability に掲載されたガイドラインをふまえて
松崎 恭一
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2014 年 6 巻 3 号 p. 120-124

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抄録
局所陰圧閉鎖療法は糖尿病性足潰瘍の治療において一定の評価を得ているが,重症下肢虚血では病態が複雑なため治療効果の予測が難しい.2011 年に重症下肢虚血における局所陰圧閉鎖療法の適用に関する2 つの推奨文が報告された.推奨文1:慢性虚血肢における局所陰圧閉鎖療法は,他のモダリティでの治療が不成功に終わった際に専門家による判断のもとで施行してもかまわないが,血行再建の代替療法ではない.推奨文2:慢性虚血肢の潰瘍では,血行再建後に局所陰圧閉鎖療法の施行を検討してもよい.推奨文1 と2 の推奨度は,同時に発表された糖尿病性足潰瘍における局所陰圧閉鎖療法の推奨度に比べて低い.また推奨度決定の根拠とした文献には本学会会員が直面する血行再建が困難な重症下肢虚血を対象とした良質な研究は含まれていない.重症下肢虚血では,1 つの治療法に固執することなく,柔軟かつ多角的な治療戦略が求められるといえるであろう.
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© 2014 日本下肢救済・足病学会
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