日本下肢救済・足病学会誌
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総説
重症下肢虚血に対する血管再生療法の現状
萩原 裕子田中 里佳
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2016 年 8 巻 3 号 p. 123-129

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抄録

重症下肢虚血(CLI)は,末梢動脈性疾患のなかでも発症1年以内の死亡率が20%と生命予後はきわめて不良である.また,下肢切断後の5年後生存率が50%であり,下肢温存は患者の予後に大きくかかわる.既存の治療法として,血管拡張剤などの薬物療法,経皮的血管形成術などの血行再建があるが,患肢切断にいたる症例も多く,新規治療法の確立が期待された.血管再生治療は治療抵抗性症例に対し開発され,血管再生促進因子を用いた治療法と,成体において脈管形成を担う血管内皮前駆細胞(EPC)などを用いた細胞移植療法に分けられる.これまで,EPCの安定した細胞数の確保とその質の改善がむずかしいと考えられていたが,近年,Ex-vivo Expansion culture法の確立により,再生医療へのさらなる応用が期待されている.本稿では,CLIに対する血管再生治療法の現状,特にEPCを用いた細胞移植療法について概説する.

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© 2016 日本下肢救済・足病学会
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