2003 年 12 巻 1 号 p. 15-29
本研究は,2001年,日本企業と韓国企業を対象に実施された予算管理システムに関する調査データに基づく日本企業の分析である.企業の予算管理システムの違いは,産業別・組織構造別・戦略別・国別・国際化レベル別など,さまざまな要因から生じると考えられる.これら要因と予算管理システムとの関連性を研究することにより,予算管理システムの機能・目的に関してのみならず,業種別,企業規模別,企業組織別・戦略別に適合するか,あるいはそれらと無関係に標準的な予算管理システムの存在可能性を探ることができると考えられる.このような研究が進展すれば,企業の業種・規模・組織構造・戦略などに最も適した,より効率的な予算管理システムないし管理システムの構築が可能になると考えられる.そこで,本稿ではその一歩として,企業規模と予算管理システムとの関連性をみるため,調査企業を売上高の規模(連結売上高2000億円以上の企業グループと連結売上高2000億円未満の企業グループ)によって二つのグループに分け,予算管理システムの違いを検討した.本研究は,予算管理システムの分類を行うための研究であり,産業,企業の国際化レベル,その国の企業文化,戦略,組織構造,企業規模といった要因と予算管理システム,さらに,管理会計システムとの関係について研究を進めるためのワン・ステップとして位置づけるものである.