管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
Print ISSN : 0918-7863
12 巻, 1 号
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論文
  • 井尻 雄士, 金田 直之
    2003 年 12 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    E-コマースの時代には,経営管理者や投資家が企業の売上に関して計画・制御するための「収益会計」が必要となる。本研究の目的は,Glover and Ijiri(2002)によって提起された「収益会計」(revenue accounting)の概念をマルコフ過程と動的計画法を用いて拡張することにある。マルコフ過程は,E-commerceにおけるbuyerとbrowserの推移とその企業利益に与える影響を分析するために用いられる。企業が値引きや広告などの方策をとった場合,推移確率や利益が影響されるが,その可能性も考慮した形で長期の企業利益を最大化する方法を提示する。

  • 朴 景淑, 浅田 孝幸
    2003 年 12 巻 1 号 p. 15-29
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究は,2001年,日本企業と韓国企業を対象に実施された予算管理システムに関する調査データに基づく日本企業の分析である.企業の予算管理システムの違いは,産業別・組織構造別・戦略別・国別・国際化レベル別など,さまざまな要因から生じると考えられる.これら要因と予算管理システムとの関連性を研究することにより,予算管理システムの機能・目的に関してのみならず,業種別,企業規模別,企業組織別・戦略別に適合するか,あるいはそれらと無関係に標準的な予算管理システムの存在可能性を探ることができると考えられる.このような研究が進展すれば,企業の業種・規模・組織構造・戦略などに最も適した,より効率的な予算管理システムないし管理システムの構築が可能になると考えられる.そこで,本稿ではその一歩として,企業規模と予算管理システムとの関連性をみるため,調査企業を売上高の規模(連結売上高2000億円以上の企業グループと連結売上高2000億円未満の企業グループ)によって二つのグループに分け,予算管理システムの違いを検討した.本研究は,予算管理システムの分類を行うための研究であり,産業,企業の国際化レベル,その国の企業文化,戦略,組織構造,企業規模といった要因と予算管理システム,さらに,管理会計システムとの関係について研究を進めるためのワン・ステップとして位置づけるものである.

論壇
  • 田中 雅康
    2003 年 12 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    社債格付会社のアナリストは多様な視点から数多くの項目を選定して社債を評価し,その格付けを行っている.しかしその評価項目や評価方法などの詳細は明らかにしていない.これがわかれば起債企業は自ら発行する社債の格付けが事前にわかるので,資金調達に関して非常に重要な情報となる.そこで,本稿は社債格付けに重大な影響を及ぼすと思われる要因を財務諸表内の情報に限定して,それを推定しようとするものである.そして,この要因が当該企業でコントロール可能ならば,高格付けの取得や維持が可能となる.これは起債企業にとって非常に重要なことである.また,この要因分析は日本の格付け会社(R&I社)とアメリカの格付け会社(MDY社)とでは異なると思われる.そこで,その異同を明らかにすると共に,本方法の有効性を示すことにする.

  • 上總 康行
    2003 年 12 巻 1 号 p. 41-52
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    投資経済計算には,回収期間法,会計的利益率法,正味現在価値法,内部利益率法,収益性指数法などがある.理論的には,正味現在価値法や内部利益率法などの割引キャッシュフロー法が優れている.アメリカ企業では,理論的に優れた正味現在価値法や内部利益率法が利用されているが,日本企業では,理論的に劣るとされる回収期間法が利用されている.

    本稿では,日本企業が回収期間法を選好する理由を解明する一環として,単純回収期間法の特徴を説明し,次いでRappaportによって提唱された割引回収期間法を検討して,さらに貨幣の時間価値の概念を回収期間法に組み込んだ割増回収期間法を理論的に論証する.

研究ノート
  • 竹内 祐二
    2003 年 12 巻 1 号 p. 53-67
    発行日: 2003/09/20
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿は,CVSチェーンを題材にして,フランチャイズ・ビジネスの収益構造の特徴と,マネジメント・コントロール・システムのあり方を考察することが目的である。フランチャイズ・ビジネスの特徴は,フランチャイザーである本部と,フランチャイジーである加盟店がそれぞれ独立事業主でありながら,あたかも運命共同体のごとく経営機能を分担していることである。単独企業においてさえ,本社と複数事業部との目標斉合性を確保することは困難だと言われている中で,何千という独立事業主を一つの目標に向けて誘導する仕組み,すなわちマネジメント・コントロール・システムがどのように設計されているのかを探る。

    本研究では,シミュレーションモデルを使って,本部と加盟店との価値連鎖を解明し,成功するマネジメント・システムのあり方を論述している。

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