2004 年 12 巻 2 号 p. 3-18
現代は変革の時代であり,企業活動の構造と方法を絶えず変革することが求められている.変革のベクトル合わせという役割期待のもとに,現代の管理会計システムには変革において企業が進むべき方向性を示す戦略が組み込まれており,戦略的管理会計と呼ぶことができる.本稿では,戦略的管理会計システムが「市場志向のシステムである」,「学習する組織を支援するシステムである」,「戦略的変数を組み込んだシステムである」という3つの特徴を有することを指摘した上で,特に市場志向のシステムという観点から検討を行っている.そして,市場と組織の相互浸透,ルース・カップリング,伸縮的分業といった概念を導入し,ネットワーク組織におけるマネジメント・コントロール・システムを研究することが現代の管理会計研究の重要課題であることを明らかにしている.