2006 年 14 巻 1 号 p. 19-38
企業価値の創造(value creation)を企業目標とするvalue-based managementの考え方の普及に伴い,会計上の利益や利益率だけでなく,価値創造の観点から定義される指標に注目が集まるようになっている.本稿では,企業価値の向上を導く経営活動に対して測定可能な目標を与えると同時に,価値創造のプロセスをモニターし,評価するために,全社的な業績指標としてどのような指標が適切かという観点から,キャッシュフロー,資本コスト控除後の利益,会計上の利益が持つ有用性を,これに関係する実証研究のレビューを通じて検討する.