原価企画活動によって生み出された製品の機能,品質,価格,信頼性,納期などの最終評価は顧客によって行われる.したがって,有効な原価企画活動の遂行のためには,価格およびコスト,機能,品質,技術などの情報が必要となる.しかもこれらの情報がタイムリーに獲得できれば開発活動をより迅速に行うことができる.製造段階における原価管理は部品中心のコストテーブルだけでも可能だが,開発設計段階では機能中心のコストテーブルが必要である.また,部品および機能中心のコストテーブルだけでなく品質,技術などの情報も必要である.そこで本研究ではまず第1に,保守の不経済性という壁を低くするためにITを用いてデータベースを構築する.すなわち,機能を中心に目標原価を達成するVE,要求品質をシステマティックに作り込むQFDを用いて部品コスト,機能コスト,品質,技術に関するデータベースの構築方法を明らかにする.第2に,コスト,機能,品質,技術などのバランスの取れた開発設計のために部品コスト,機能コスト,品質,技術のテーブルを相互に関連付けるデータベースの構築を試みる.第3に,製品開発に関する部門およびサプライヤーが空間的・時間的に離れているときに役立てるために,部品コスト,機能コスト,品質,技術に関する情報のインターネットによる共有化を図る.