1993 年 2 巻 1 号 p. 161-179
1.海外企業進出において管理会計の課題は何かを実践的に考える場合次のステップが必要である.
①海外企業進出の課題を明らかにする
②管理会計の機能と特色を再認識する
③ ①と②より海外企業進出における管理会計の具体的課題をクローズアップする
2.海外企業進出における管理会計の具体的課題は次のとおりである.
①海外関係会社の組織上の位置付けと本社の立場からの管理体制
②海外関係会社の業績計算
③海外関係会社の業績評価
④海外関係会社から本社へのレポーティングシステム
⑤リスクへの対応(為替リスク,税金リスク)特に詳細説明を要するのは①,②及び③である.
3.海外関係会社の組織上の位置付けと本社の立場からの管理体制
①組織上の位置付けとしてはおおむね5つのパターンがある
②海外関係会社ごとに主管担当役員と主管部を決めるのが有効である
4.海外関係会社の業績計算と業績評価
①業績計算は業績評価のために必要であるが両者は同じものではない
②業績には単独業績と連結業績がある
③業績評価は多元的構造を持っており,評価対象と評価のフェーズをマトリックス構造で理解する必要がある
④定型化しなければならないのは予算統制の締めくくりとして行なわれる予算対比による評価であり,これは人事考課と報奨につながる