多くの先進諸国が様々な行政経営改革に取り組んでおり,なかでも予算と成果を関連づける業績予算の構築が進んでいる。業績予算は標準化された測定技法のようなものではなく,多様な設計アプローチの組み合わせからなる。業績予算には,業績情報の種類,予算の歳出区分,予算プロセスといった設計変数がある。本論文では,日本政府における2001年から10年間の業績予算の構築過程を検討し,そのなかで複数の設計変数がどのように組み込まれてきたのかを明らかにする。その結果,日本政府における業績予算の構築過程には,予算プロセスに関与する関係者の複数化と政治家の関与の深化という一貫したパターンがみられることがわかった。このようなパターンは,日本の国家統治や民主主義のあり方に影響を与える可能性がある。業績予算の構築といった行政経営改革は,管理会計研究に民主主義の発展に寄与する機会をもたらすものである。