日本小児外科学会雑誌
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症例報告
肝門部結合織に異所性軟骨組織を認めた胆道閉鎖症の1例
鳥飼 源史松久保 眞春松 敏夫大西 峻山田 耕嗣川野 孝文義岡 孝子連 利博加治 建家入 里志
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2020 年 56 巻 7 号 p. 1133-1138

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抄録

症例は日齢60女児.日齢40頃より灰白色便と黄疸を認めるようになり,前医で胆道閉鎖症(以下本症)を疑われ,当科に入院となった.身体所見で全身の黄疸と肝腫大を認め,血液検査で直接ビリルビンの上昇と肝機能異常を認めた.超音波検査で胆囊の萎縮とtriangular cord signが確認され,胆道シンチでは核種の腸管内排泄を認めなかった.本症が強く疑われたため,日齢67に試験開腹術を施行した.術中所見では萎縮した胆囊と索状の肝外胆管,肝門部の結合組織塊を認め,本症(III-b1-ν)と診断し葛西手術を施行した.病理検査では肝門部結合織内の微小胆管構造の周囲に異所性軟骨組織を認めた.異所性軟骨を伴った本症の症例報告はこれまでにも散見され,発生学的異常や炎症による軟骨化生などが発症要因として推測されているが,原因は明らかとなっていない.異所性軟骨を伴った本症の症例報告をまとめて文献的考察を行った.

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