2019 年 27 巻 1 号 p. 3-18
半導体製造装置企業は,技術革新により今後も微細化・集積化が進むという不確実性の下に設備投資を実施するため,その意思決定には企業の戦略が深く関与していると考えられる.半導体製造装置企業であるA社の事例を基に,戦略的投資決定のフレームワークを用いて設備投資意思決定のプロセスを明らかにし,回帰分析による半導体製造装置企業の設備投資モデルを新たな視点として加えて,半導体製造装置企業における設備投資意思決定プロセスの提示を試みる.また,管理会計分野で今まで研究されてきた設備投資の経済性評価技法の問題点を整理したうえで,その方法と回帰分析による設備投資モデルの相補的利用法を提示する.