2020 年 28 巻 1 号 p. 55-70
本稿の目的は,業績評価の分析的モデルにコンピュータ・シミュレーションを適用し,業績評価指標の特性であるインフォーマティブネスと管理可能性がエージェントの努力配分に関する均衡点と均衡到達経路に及ぼす影響を可視化し解明することにある.経済理論ベースの研究は,最適解の有無に関心を寄せる一方,シミュレーションは,合理性が緩和されたエージェントを直接記述し,彼らの意思決定や行動の動的な変化を連続的に観察・分析することに力点をおく.そうしたシミュレーション試行を通じ,インフォーマティブネスと管理可能性とが満たされているか否かによって類型化された4つのパターン間で,エージェントの努力配分の均衡点やその均衡到達経路に違いが生じること,さらにそれらに評価の頻度が関わっていることが明らかにされた.