2020 年 28 巻 1 号 p. 37-53
本研究の目的は,共に日本発のマネジメント手法として注目され,その親和性が議論されてきたMPC制とJIT生産方式の併用による生産活動への影響を解明することである.従来MPC制を実施しながら,近年JIT生産方式の導入に取り組んでいるX社(東証一部上場・製造業)を対象にフィールドスタディを実施した.その結果,先行研究で指摘されてきたMPC制の課題を補う1つの解として,JIT生産方式が貢献し得ることを経験的に示した.具体的には従来のMPC制だけでは十分機能しなかった「市場意識をもった生産活動」や「MPC間の人員の貸借」等に対し,JIT生産方式が補完することで,水平的インタラクションが活性化していた.一方両手法の併用は,いくつかの点で逆機能を引き起こす可能性も指摘した.