2022 年 30 巻 1 号 p. 21-36
先行研究では,BSCを運用するとき,他のMASとの連携が不可欠と認識したうえ,企業内のBSCと一部のMASに焦点を当てた研究がなされてきた.しかし,企業に存在するすべてのMASを視野に入れ,BSCとの連携はどのように計画されるかはまだ明らかにされていない.本稿では,亀山電機に基づき,先行研究で見られた外部環境,情報技術,文化,コミュニケーション,および意思決定権限に関する考え方によって,連携を計画するとき,そのプロセスにかかわった人がどのような活動を起こし,それによって,どのような情報の流れを作り出して連携を計画したかという問題を解くことで,BSCと他のMASとの連携を計画する実態を明らかにした.また,先行研究で見られた人の考えは,必ずしもBSCと企業に存在するすべてのMASとの連携において機能しないことを発見した.