2022 年 30 巻 2 号 p. 21-26
間接費配賦というテーマは,管理会計・原価計算の研究・実務を問わず,古くて新しい基本問題であり続けている.理論の進展の面では,ABC,TDABC,資源消費会計などの新たな手法が提唱されてきた.実務の解明の面では,分析的研究や学術的調査の蓄積が進められてきた.しかし果たして,理論と実務のギャップは埋められてきたのだろうか.原価計算の適用領域は,サービス業や非営利組織へと拡大している.ビジネス環境,戦略,ビジネスモデルの変化のもと,様々な業種において,原価計算目的や原価計算対象がどのように変化しており,原価計算の知見にどのような再考を促しているのか.あらためて,なぜ配賦するのか,そしてどのように配賦するのか,について考える機会とすべく,「間接費配賦の再考」を統一論題テーマとさせていただいた.