2025 年 33 巻 2 号 p. 15-21
ソニーの経理部門におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みについて紹介する.経理業務の自動化を目的に,2016年からロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)を導入し,年間約15,000時間の経理業務を自動化している.RPAの導入により,決算業務のスピードと精度が向上し,効率的な業務運営が実現していたが,2021年からは中期計画にテクノロジーと人材育成を組み込み,2022年夏にはDX推進課を設立した.具体的なツールとしては,BIツールのTableauと優れたETL機能(データの収集・加工・送出)を持つAlteryxを活用し,業務の効率化とガバナンス強化を図っている.Tableauは経理業務の各プロセスで活用され,データの可視化と分析を支援している.Alteryxは大量データの高速処理を可能にし,手作業によるエラーを削減している.今後は,AI技術の活用やデータの自動化を進め,経営判断に資する情報提供を目指す.特に,生成AIやAI-OCRの導入により,さらなる業務効率化と高度な分析が期待される.