本論文では生成AIを含むデジタル技術の進展が管理会計に与えうる影響を定性的研究に基づいて検討している.デジタル技術を専門とする実務家への聞取調査からは,今後,連携した統合的なデータベースの活用と,AI活用を前提としたプロセスの構築が進むことが示唆された.管理会計で考えると,会計情報と管理情報を統合したデータ分析が進むことで,従来の予実差異分析に基づく課題特定から,会計業績に影響を与える管理情報の直接的な特定へと変化する可能性が示唆される.また,実際に,日清食品では,生成AIと統合データベースを用いた自動レポーティングが試行されており,このような変化により,管理会計プロセス自体も変化する可能性がある.AIによって業績分析までもが自動化される可能性があるなかでは,管理会計人材の育成においても,データベースの構築,業績分析・報告の設計,そして結果の解釈や創造的な提案に重点が置かれるようになると考えられる.