2026 年 34 巻 1 号 p. 53-75
現代企業は,二者択一的な期待と要求を伴う目標の両立が求められている.本研究は,社会的および収益的な目標を同時に追求する企業に注目し,目標間に生じるテンションを見える化する業績測定システム(PMS)の構築と活用の実態を分析した.PMSをテンション・マネジメントの支援装置と位置づけ,その過程を,1 PMSの構築(テンションの見える化),2 PMSの活用(テンションの調整)という2つのステージで捉えた.事例企業では,PMSによって測定された業績情報がテンションとして意味づけられて組織内で認知・共有され,マネジャーの意思決定と行動を促していた.戦略的に重要なテンションを識別し,そのマネジメントを行うことは,現代企業の持続的な成長にとって不可欠であることを示唆している.