本研究は,TOPIX500を対象に,企業のサステナビリティへの取り組みが組織資本を介して中長期の財務業績に及ぼす動態的メカニズムを検証する.Lev et al. (2009)に基づいて財務データから組織資本を推計し,Bloombergの提供するESGデータから5つの主要な指標を対象に主成分分析を行い,サステナビリティに対する実質的対応と象徴的対応を表す変数を作成した.分析の結果,組織資本は翌期以降の企業業績を予測することが確認されるとともに,サステナビリティへの実質的対応は将来の組織資本を高める一方で,象徴的対応はその蓄積を阻害することが示された.このことは,開示と実践のデカップリングが中長期の価値創出を損なうことを定量的に示している.本研究は,サステナビリティと企業業績を結び付けるうえで,中長期的な時間軸によるマネジメントを行う必要があることを示唆している.