2026 年 34 巻 2 号 p. 17-32
本稿は管理会計研究における質問票調査の役割を再検討し,限界と可能性を整理する.近年エビデンスレベルの低さの指摘が強まっている.そうした中でABC研究を例に,質問票調査の測定対象や成果変数を段階的に拡張したプロセスを示した.また国内研究は既存概念の援用にやや偏重している点や,その援用の問題を指摘した.これらを踏まえ質問票調査が果たし得る貢献として,新規概念・尺度の構築,既存概念の新たな成果変数・コンテクストの検証,新たなデータセットによる外的妥当性の確認を提示し,エビデンスレベルの優先順位と段階的な厳格化の必要性を論じる.これらを通じて質問票調査は依然として管理会計研究の重要な方法論たり得ることを示す.