2019 年 75 巻 2 号 p. 239-248
塩化物を含む大気環境で優れた耐食性を示すSn添加鋼材を適用した鋼構造物の塗替え塗装における腐食劣化特性を明らかにすることを目的に,予め腐食試験にて腐食させた鋼板の素地と残留塩分量を調整した後,実環境曝露と腐食促進試験法を用いて塗装部耐食性を評価した.実環境の曝露試験では,Sn添加鋼材の耐食性を確認したが,濡れ時間の長い腐食促進試験法では比較鋼材と同程度の性能を示した.塗装鋼構造物の補修時における塗替え塗装の寿命判定のためには,無塗装鋼板を腐食させた後に素地調整した試験片を用いるよりも,実補修に近い旧塗膜の活膜を残した塗替え塗装仕様を用いた方がよいと考えられる.また,補修塗替え塗装の塗膜下のさび層や残留塩化物や界面の濡れ時間等を考慮した促進試験法を用いて定量的な評価をする必要があることが分かった.