ビジネスの世界に生きる実務家の多くは、これまで、「実学」とされる経営学等の領域に課題解決の処方箋を求めてきた。特に、筆者が長年従事してきたマーケティングの分野では、米国を起源として今日に至るまで様々な研究が続けられ、多くの理論モデルが生み出されてきた。しかし、筆者は、これまでの実務経験の中で、それら既成の諸理論が現実の実践世界で通用するケースは稀であり、逆に、対極的に扱われる広義の人間科学に学ぶことこそが有効かつ重要であると考え続けてきた。本拙論では、実務家の観点から人間研究の重要性について提起したいと考える。