2010 年 10 巻 p. 155-162
本研究は,従来の社会性診断,環境性診断,あるいはCSR診断ではカバーできなくなった企業経営の新しい存立条件をサスティナビリティとして捉え,その診断的枠組を提示することを目的とする。企業活動が経済,環境,社会の3側面に与えるインパクトを分析・評価することで,企業のサスティナビリティ度を判断できると考える。すなわち,トリプルボトムラインの統合的な把握である。そのための基本的な方法はステークホルダー・アプローチである。ここでは,中小企業とサスティナビリティについて紹介し,その中で中小企業向けの診断評価プログラムの開発について論述するものである。本研究では,主要なステークホルダーとサスティナビリティの関係の解明に取組み,サスティナビリティ診断の基準および指標開発のための基礎的検討を行った。