抄録
トヨタ生産方式(TPS)は,ITに対して否定的,ないしはIT嫌いといった印象を受けることが多い。実際,2015年の現在においても,トヨタ自動車とその関連企業では,TPSにこだわりをもつTPS推進部門とIT部門の間でIT化に関して意見の相違が見られることがある。しかし,IT技術は日進月歩であり,故大野耐一氏が教えを説いた時代のITから大きく進歩している。本研究では,現在のTPSの現場でもIT化が進んでいることを示し,TPS部門で残っているIT活用に対する抵抗感を議論し,ITに対する大野氏の考え方を整理し,最後にTPSにおいてもIT活用が重要となっていることを示す。