わが国の農業は,集落の過疎化や高齢化による農業従事者の減少と,耕作放棄地の拡大によって集落の存続すら危ぶまれる状況にある。2013年12月に農林水産業・地域の活力創造本部は,経営力のある担い手の育成や構造改革等による「強い農林水産業」と,美しい景観や森林・海洋資源を持つ農山漁村の活性化を進める「美しく活力ある農山漁村」を目標とした「農林水産業・地域の活力創造プラン」を策定した。広島県は経営力のある担い手の一つとして集落営農法人を位置づけ,法人設立および経営支援を積極的に進めている。本稿は「2013年度広島県集落法人センサス調査」の分析を中心に,集落営農法人の成長に伴う経営課題について考察するものである。考察の結果,法人の成長に伴い経営課題は,現業者人材の不足や栽培技術に関する項目から,外部の経営情報や資金調達に関する項目へ変化することが判明した。