本研究では,メタ認知的知識およびメタ認知的活動から構成されるメタ認知能力と認知対象の捉えやすさや理解の容易さのことであるメタ認知容易性が,国際ビジネスに及ぼす影響について考察を加える。認知の観点から国際ビジネスを論じる際にはメタ認知が欠かせない概念であることを示したうえで,企業の国際パフォーマンスに対するメタ認知の影響についての考察を加える。その結果,メタ認知容易性が高い国に関する情報の量が適切である場合には心理的距離のパラドックスを乗り越えることができ,企業の国際パフォーマンスが高くなること,そして,海外進出支援によりメタ認知容易性が高まると支援対象の企業の国際パフォーマンスも高くなることを仮説として示した。