抄録
日本の経営現場における競争優位の構築には,「システム」とは似て非なる「仕組み」が有効に機能している。しかし,経営学分野において「仕組み」に関する議論は極めて少ない。本稿の目的は,韓国最大手の製鉄企業であるPOSCOへのトヨタ生産システム導入の事例を用いて,「仕組み」の有効性を検証することである。具体的には,「仕組み」の概念および定義を整理したうえで,その有効性を指摘する。POSCOへのトヨタ生産システム導入事例は,「仕組み」という動的メカニズムが,①リードタイム短縮,②生産性向上,③改善意識の向上に対し正の影響を与えたことを示した。また,「仕組み」の視点は,今後の異業種へのトヨタ生産システムの移転可能性を示唆している。