本研究は,日本の中堅および大手の化学系企業のR&D活動初期段階において行われる「研究テーマ創出(a)」の程度と,その場面で人的活躍が期待される「ミドルマネジメント(c)」の活性度との関連性,および前者の創出場の一つとみられる「ホットグループ(b)」発生の程度と(c)の活性度との関連性のそれぞれの結果,ならびに岩崎・名取[1]の先行研究の結果をもとに,一考察を試みたものである。分析には,日本の中堅規模以上の化学系企業計22社を対象にこれら(a)から(b)のそれぞれの程度についてアンケート調査を実施した。分析の結果,(a)(c)間には有意に相関が確認されたが,(c)(b)間には相関は確認されなかった。別途限定的に行ったインタビュー調査結果および報告者らの先行研究成果を加味すると,(a)を効果的に行ううえで,(c)および(b)は正の効果を与えうるが,(c)に比して(b)の必要性は低いことがわかった。