2019 年 18 巻 p. 77-83
中国では近年,農民の都市部への流入や学卒者の都市部居留によって住宅の供給量が不足するとともに,不動産価格の高騰に賃金の上昇が追いつかず住宅の取得が困難な世帯が増えている。このため中国政府は,賃貸住宅市場の成長を促すことで住宅価格の高騰を抑制し,都市住民の住居確保を図る政策を2016年に打ち出した。政府は,民営賃貸住宅の主な供給者として大手不動産企業に期待し,かつ多くの関連記事も中国賃貸住宅市場の隆盛を期待している。本稿では,日中とも民営賃貸住宅の大半が個人所有であることを指摘し,中国における長期賃貸住宅供給の促進は,大手不動産企業だけでなく個人所有についても決して容易でないことを示す。