2006 年 6 巻 p. 268-278
本論文では, 盛岡市をモデル都市に設定し, 人口規模がほぼ同程度の県庁所在都市等地方都市について地価水準の観点から類型化を行い, 類型別にまちづくりの方策にいかなる特徴があるかを明らかにするものである。調査結果では, 商業地・住宅地いずれも盛岡市より地価水準の高い都市では, コンパクトシティ化がすでになされ, 歴史的・文化的建造物を大切にし, 景観形成に努めている段階である。また, 商業地地価が低く, 住宅地地価が高い都市では, まちなかに再開発ビルを設け, 集客に努め, コンパクトシティ化を志向している段階である。一方, 商業地・住宅地いずれも盛岡市より地価水準の低い都市では, 中心市街地の空洞化が進展し, 現在コミュニティビジネスを展開している段階である。
今後, ますます高齢社会を迎え, 共通して街なか居住, コンパクトシティ化の促進を図る必要性がある。