抄録
本稿では, 訪問介護事業者における事故防止対策の現状やリスクマネジメントを推進する際の阻害要因等を中心に検討した。その結果, 事故防止に向けて危機管理体制を構築し組織的に実践している事業者がいる一方で, 基本的な安全対策すら十分に講じていない事業者も散見された。サービス提供時の事故を防ぐためには, リスクマネジメントシステムを構築し組織全体で取り組む必要があるが, 介護業務に追われ, 研修する時間を確保できない事業者が多い。また, ヘルパーの 「多様な就業形態」 や 「変則勤務」 もリスクマネジメントの推進を妨げる要因の一つとなっている。
