2010 年 9 巻 p. 25-33
江戸時代の家庭配置薬業振興を起源として,富山には,日本海側最大規模の産業集積が形成された。家庭配置薬業のビジネスモデルは,現在,モンゴル国において成功を収めている。一方,我が国の保健医療分野では,取り組むべき課題が山積している。本稿では,家庭配置薬システムの成功要因に焦点を当て,①途上国のプライマリ・ヘルスケア実現に向けたソーシャルビジネスとしての有効性,②ICT活用による有効性の向上,③高齢化が進む我が国の日常生活圏における医療サービス向上策としての可能性を明らかにするとともに,④個人単位のセルフ・メディケーションから住民が相互に助け合うコミュニティをベースとしたメディケーションへと発展させることの重要性を提唱する。