抄録
福井大学では実習前の学生全部に対し,特別の期間を設けて教育実習事前学習を実施している.本論文はその事前学習カリキュラムの開発の経過,そこで行われているマイクロティーチングの特徴,それから得られた若干の知見についてのべたものである.事前学習では3年次生の全部という多人数を対象にマイクロティーチングを行わねばならない.また,教授スキルの習得といっても教育内容をぬきに行うことは困難である.そのため,20分程度のマイクロレッスンという形が考えられ,それに適した授業評価表も作られた.授業評価表を分析した結果,マイクロレッスンの繰り返し観察によって授業観察能力に上昇が考えられること,他者評価と自己評価に平行関係が存在することが明らかになった.また,項目によって評価に難易度の違いがあり,スキルに関する項目が難しいようで,授業観察能力の育成が教授スキル習得と不可分の関係にあることが明らかになった.