授業改善において,学習者の理解変容を把握することは非常に重要である.先に塚本らは学習者によって自由に記述された「学習カルテ」を分析することによって,学習者の理解変容に関するレスポンス分析を行い授業改善に1つの方向を示した.しかし学習者レスポンスの分析を行うことは,教員や研究者にとって多くの時間と労力が必要であり,日常の授業改善に適用することは困難であった.本研究は,学習者レスポンスの意味を研究することにより,授業改善のための学習者レスポンスの収集と解析の方法を示したものである.その効果は,情報の授業において評価され明らかにされた.学習者レスポンスの4つのカテゴリは,合理と非合理の心理機能の上に存在し,実験者はこのバランス全体をとらえることによって授業改善を行うことができた.加えて学習者レスポンスを収集すること自体が,学習者の受講態度の改善につながることも示された.