抄録
限られた授業時間内に適切な授業内容を盛り込むことは教育上重要な問題である.本論文は,与えられた教授項目のなかから定まった授業時間内で教授項目間の学習順序を満たし,その重要度の総和が最大になるように教授項目を決定するという授業科目の内容を決定する方法を提案する.本解法は階層有向グラフの作成および最適化の2段階から構成される.階層有向グラフはISM手法を用いて決定され,教授項目間の学習順序を表わすものである.この階層有向グラフは,与えられた順序付けにおける矛盾を見つけたり,与えられた教授項目を再検討したりすることを通じて教師間の合意を形成するために欠かせないものである.各教授項目に直接隣接した先要教授項目の集合が,この階層有向グラフから導かれる.この集合を用いて最適教授項目決定問題は割当て問題として0-1整数計画問題に定式化でき,分枝限定法により最適な教授項目が決定される.提案した解法を実際の問題に適用し,その妥当性と有用性を示す.