1984 年 8 巻 3 号 p. 97-106
授業を効果的なものにするために,生徒の受容態勢や,意識にのぼらないような教室の雰囲気は重要な要素である.にもかかわらず,それを知ることには大きな困難がある. これを何らかの生理的指標によって知り得たら,授業研究にとって大いにプラスになるにちがいない.本研究では,生理的指標をGSR (Galvanic Skin Reflex)に求め, 従来不可能であった授業中の児童全員および教師の GSRを同時に計測できるシステムを開発した. このシステムにより, 全教科にわたって計測を行った結果,授業中のGSRは集団的に起こること,集団間や個人間に相互作用の存在することなど,教科共通,教科特有の多くの知見を得た. GSRは現実の授業場面に広範囲に利用でき, 教材開発に寄与するばかりではなく,授業における人間的要素についての新たな研究を可能にすると思われる.