2026 年 5 巻 2 号 p. 104-115
本研究は,ABCモデルの限界を検討するとともに,行動変容を理解するための代替的枠組みとして社会的実践理論の有効性を考察するものである。ABCモデルは,個人の態度や選択を行動の主要な規定要因として捉えるが,行動が埋め込まれている社会的な文脈を十分に説明できないという批判がある。そこで本研究では,Shoveの社会的実践概念に依拠し,行動変容を意味(meanings),物質(materials),能力(competences)の結びつきの再編成として捉える。事例分析の検討の結果,個人の態度や選択に着目する説明の限界が示されるとともに,実践を分析単位とする視点の重要性が明らかになった。以上により,社会的実践理論は消費や行動変容を理解するための有効な視座を提供し,マーケティング研究に新たな理論的示唆を与えることが示された。