2026 年 5 巻 2 号 p. 64-78
本稿は,サービス・マーケティングの学説的発展を,サービス概念の焦点,分析単位,研究方法の変化という三つの観点から検討する。主要文献を対象とする概念史・時代区分を検討し,その展開を①IHIPによる有形財との差異化,②サービス品質の操作化,③リレーションシップとプロセスへの転換,④S-Dロジックによる価値共創・資源統合・制度の導入,⑤サービス研究の発展の五期に整理した。分析の結果,サービス研究は,取引対象から顧客経験,二者間関係,さらに多様なアクターが関与するサービス・エコシステムへと分析単位を拡張し,方法も概念整理,尺度開発,定量・定性研究,設計研究へと多様化してきたことが示された。本稿によって,サービス・マーケティングの研究領域とその対象を再考するアプローチを提示する。