順天堂醫事雑誌
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原著
医療サービス活動における顧客評価に関する研究
--患者満足度調査と患者の意見--
山口 静子雪下 岳彦丸井 英二
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2013 年 59 巻 1 号 p. 49-58

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抄録
目的: 「患者満足度調査」と「患者の意見」は, 医療者と患者の間に生じる医療サービス提供過程の協働作業を患者側が評価したものである. そのため, この調査結果を基に患者が求めている医療サービスの課題を導き, 医療サービス活動の改善に役立てる. 方法: (1) 「患者満足度調査」については, 浦安病院の外来や病棟に年1回定期的に調査した結果の外来部門の3年間の推移を分析した. (2) 「患者の意見」については, 浦安病院患者相談室開設から3年4ヵ月間に患者から寄せられた意見を月ごと年度ごと, また「苦情の意見」を5分野に整理分類し4年間にわたりまとめデータ化し, この推移を分析した. (3) 「苦情の意見」について, 3年4ヵ月間患者相談室や浦安病院が介入したことは, 「患者の意見」や「患者満足度調査」に有効な影響を与えているか検討した. 結果: 「患者満足度調査」結果は, 調査6分野ごとの平均得点は3年間ほぼ同じ値を示し, 満足度順位も傾向は同じであった. 「患者の意見」は4年間増加傾向を示し, 「苦情の意見」に当初から介入したことは, 平成15-17年度と18年度のデータに違いを示していた. 予測でき介入が可能となった項目のデータは減少傾向を示していたが, 予測できず十分対応できなかった項目は増加傾向を示していた. 結論: この調査結果から, 「患者満足度調査」は医療サービスの品質を管理するモニタ機能として有効であり, 「患者の意見」はサービス提供過程の改善には具体性があるため効果的であり, 病院組織には「患者の評価」を受け止める柔軟性が必要となる. したがって, この「顧客評価」の活用により, 病院の医療サービスの品質が保証される.
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© 2013 順天堂医学会
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