抄録
ドイツで医学博士号を取得した最初の日本人である佐藤進の名は, 日独関係史の医学の分野において重要な位置を占めているにもかかわらず, 今日, 医学史研究者以外にはほとんど知られていない. 順天堂大学とベルリンのシャリテは2011年以来協力関係を結んでいるが, 歴史的に両者を結びつけるのもやはり進である. 今日順天堂からベルリンに留学してくる学生は日本とベルリンの間に続く学術交流の長い鎖にもう一つの環を加えている. ベルリンは明治時代を通じて, 日本人が訪れることのもっとも多い都市であった. そのことを知っていてもいなくても, 青年たちは, ベルリンのどこに行っても, 歴史をたっぷりと孕む土壌の上を歩いているのであり, 彼ら自身, その土壌の一部なのである. 外国に来て, 先駆者の学習意欲と経験の痕跡にたえず触れられることは有益であるに違いない.