順天堂醫事雑誌
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原著
尿毒症ラットにおける鉄投与による血管石灰化の抑制効果
中野 貴則濱田 千江子瀬戸 拓也稲見 裕子発田 陽子井沼 治朗神田 怜生若林 啓一井尾 浩章富野 康日己
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2013 年 59 巻 4 号 p. 340-346

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抄録
目的: 血管中膜石灰化は慢性腎臓病 (chronic kidney disease;CKD) 患者に特徴的な合併症であり, 心血管系イベントや死亡率を増加させる原因となっている. CKD患者の貧血の治療に使用される鉄 (Fe) は, 酸化ストレスを増悪させ血管内皮障害を惹起する作用を有するとされている. 一方でin vitroの研究では, フェリチンが血管平滑筋の骨芽細胞への形質転換を抑制することで, 血管へのCa沈着を抑制し石灰化を予防するとの報告がある. 今回, われわれはアデニン食で腎不全ラットを作製し, 尿毒症状態におけるFeの血管石灰化に対する効果について検討した. 対象動物: 10週齢の雄のSprague-Dawley (SD) ラット24匹を用いた. 方法: 24匹のSDラットを4群 ( (1) 対照群, (2) 対照群+Fe投与群, (3) 尿毒症群, (4) 尿毒症+Fe投与群に分けた. アデニン食 (0.75%アデニン含有食) 投与により尿毒症・石灰化モデルラットを作製し, それぞれの石灰化の程度, ナトリウム依存性リン酸輸送体 (Sodium-dependent phosphate transporter 1;PiT-1) やrunt関連転写因子 (runt-related transcription factor 2;RUNX2) の発現等について免疫染色やreal-time PCR法で評価した. 結果: アデニン食負荷により, 尿毒症の発症および血管石灰化の発生が認められた. Fe投与は, 腎機能や血清Ca・Pi等のパラメーターに影響を与えなかったが, 非Fe投与群に比べ, 血管石灰化を有意に抑制した. 同時にPiT-1発現の低下傾向がみられた. 結論: Fe投与は, 血管平滑筋細胞内のPiT-1発現や骨芽細胞様形質転換を抑制することで, 血管石灰化を減少させることが示唆される.
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© 2013 順天堂医学会
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