1998 年 15 巻 3 号 p. 128-131
豚卵母細胞の試験管内核成熟に及ぼす黄体形成ホルモン(LH,100 ng/ml)の影響について検討した.卵丘細胞の付着する卵母細胞(CO)と,卵丘細胞を機械的に剥離する卵母細胞(DO)とを,LHを添加あるいは無添加の成熟培地に導入し,42-43時間培養した.その結果,LHを添加する培地で成熟させるCO及びDOは,LH無添加の各々のものに比べて,第二成熟分裂中期(M-II)への核成熟率が有意に高くなった(P<0.05).次に,LHを添加する培地に,ギャップ結合の阻害剤である1-heptanolを添加あるいは無添加の区を設定しCO及びDOを培養すると,1-heptanol添加するCO及びDOは,無添加のものに比べてM-IIへの核成熟率が有意に低くなった(P<0.05).以上の結果から,LHは豚卵母細胞に付着している卵丘細胞の関与なしに,核成熟を促進する作用があるものと考えられた.また,その作用には,ギャップ結合を介する要因が関わっているものと推定された.
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