Journal of Mammalian Ova Research
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ブタ卵子第2減数分裂中期への減数分裂進行時において卵子卵丘細胞間のギャップジャンクションの閉鎖により卵子内cAMP量は低下する
島田 昌之寺田 隆登
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2001 年 18 巻 3 号 p. 99-105

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抄録
哺乳動物の卵子は多層の卵丘細胞に覆われている.卵丘細胞と卵子間のギャップジャンクションが閉鎖すると卵子は第2減数分裂中期へと減数分裂を進行する.このギャップジャンクションの閉鎖にはギャップジャンクション構成因子であるConnexin-43のリン酸化が関与している.そこで本研究では,卵丘細胞のConnexin-43のリン酸化の卵子のcAMP量,MAP kinase活性,核相の進行に対する影響について検討した.24時間培養したCOCsにおける卵丘細胞のConnexin-43は脱リン酸型が多く存在したが,培養32時間以降の卵丘細胞ではリン酸型のバンドが著しく濃くなった.次に,24時間培養したCOCsをPI 3-kinase抑制剤(LY294002)あるいはPKC抑制剤(Calphostin C)を添加した培地でさらに24時間培養し,Connexin-43のリン酸化を抑制した.その結果,これらの卵子はcAMP量の有意な増加とMAP kinase活性の著しい低下,第一減数分裂中期での減数分裂停止が観察された.以上の結果から,ブタ卵子の第一減数分裂中期以降への減数分裂進行時において,卵丘細胞卵子間のギャップ結合が閉鎖すると卵丘細胞から卵子へ移行するcAMP量が減少し,卵子内のcAMP量が低下する結果,MAP kinaseが活性化し第2減数分裂中期へと減数分裂が進行することが推察された.
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© 2001 日本卵子学会
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