Journal of Mammalian Ova Research
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報告
わが国における生殖補助医療胚培養士の現状
遠藤 克柳田 薫香山 浩二吉村 泰典野田 洋一井上 正人
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2006 年 23 巻 4 号 p. 176-183

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抄録

不妊治療に大きな役割を持つ生殖補助医療に携わる胚培養士の質的向上を目指して,日本哺乳動物卵子学会では平成14年4月から胚培養士の認定制度を発足させた.これまでに生殖補助医療胚培養士として認定した455名について分析した.性別では女性が78.7%を占めた.年齢階級別比較では25~29歳が197名(43.3%)と最多レンジであった.胚培養士の最終学歴の分析では,4年制大学の卒業者が最も多く37.1%を占めた.学位取得の状況を検討すると取得者は86名(18.9%)に達している.生殖補助医療における培養室従事期間では,1~2年が最も多く43.1%であった.次いで3~4年の経験者が25.1%であり,施設での入れ代わりが活発であることがうかがえる一方で,この職種が新しいことを裏付ける結果でもある.勤務地域の分布では,関東地域が最も多く31.9であった.勤務施設別では最も多いのが産婦人科医院・クリニックで60.6%を占めていた.この報告で胚培養士の実態が明らかとなった.ヒトの生殖細胞ならびに胚を直接的に取り扱う胚培養士は,ARTに対応するための知識,錬磨された技能,高い倫理性と品位を兼ね備えていることを要求される.そのような専門性の高い技術者である培養士には公的認定制度が望ましい.また,認定制度に伴って生殖医療施設における組織改革と胚培養士の職責の明確化がなされ,社会的地位の向上につながるものと考えられる.

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© 2006 日本卵子学会
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