2011 年 28 巻 4 号 p. 219-223
紡錘体可視の可否や,紡錘体の位置の違いによる胚発生への影響を検討した.2009年6月から2010年6月の間にICSIを施行した109症例,144周期から得られたMII期卵830個を対象とした.紡錘体が可視できた卵をX群とし,X群の中で紡錘体の位置が極体の直下,時計回りに0°<,≦45°,45°<,≦90°,90°<,≦135°,135°<,≦180°にあったものをそれぞれA,B,C,D,E群とした.紡錘体が不可視であった卵をY群とした.A~E群,Y群の割合はそれぞれ57.4%,38.5%,3.5%,0.5%,0.1%,27.9%であった.X群における受精率,良好胚形成率,胚盤胞形成率,良好胚盤胞形成率はそれぞれ70.6%,48.3%,41.5%,5.2%,Y群における受精率,良好胚形成率,胚盤胞形成率,良好胚盤胞形成率はそれぞれ65.9%,47.7%,29.5%,4.2%であり,受精率,胚盤胞形成率に関しては可視卵が高い傾向にあった.ICSIにおける紡錘体可視化は意義のある方法であることが分かった.
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