抄録
効率的に活性化を誘起する直流電圧を決定するため, 42時間体外成熟培養を行ったブタ卵母 細胞に, 100~3, 000V/cm DC, パルス幅100μsecの単矩形波を負荷した.200~1, 250V/cmにおいて'90%以上の高い活性化が認められ, 750V/cmでは最も高い活性化率 (98%) が得られた.成熟培養時間が活性化に及ぼす影響を調べるために, 36~54時間成熟培養した卵母細胞に750 V/cmの負荷電圧を与えた結果'成熟培養時間の増加とともに活性化率が上昇する傾向が認められた.培養時間が42時間以上の卵母細胞の活性化率 (94~99%) は, 培養36 (47%) あるいは38時間 (44%) より有意に高かった (P<0.01).電気刺激後, 卵子の減数分裂再開時期を明らかにするために'750V/cmの負荷電圧を42時間成熟培養した卵母細胞に与え, 経時的に固定・観察した.刺激の10分後にはAnaIIの染色体が認められ (32%), 30分後にはTelIIの染色体が観察された (32%).その後'染色体の変化は卵子間で同調して進行し, 4時間後には95%の卵子で核の形成が認められた.核形成後の活性化卵子の極体数と核数を調べたところ, 92%の卵子が第2極体と.つの核を保有する, 半数体 (2PBIN) と推測されるものであった.2PB.N卵子は, その後の培養により4細胞期以降にまで卵割した.