経営哲学
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特別寄稿
1988.07.03. やんばる・夏の文化講演会 鶴見俊輔「今・じんぶん・を考える」知恵と知識と
大城 美樹雄
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2024 年 21 巻 1 号 p. 2-24

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抄録

2023年9月に経営哲学学会は40周年を迎えた。40周年を迎えるにあたり、学会の榊原研互会長から「是非とも学会創設者の島袋先生の故郷で40周年記念大会を開催したい」との打診があり、なぜ沖縄で開催されなければならないのかの説明を聞くとその情熱に押されて引き受けることとなり、さらに名桜大学にて開催することが理事会でも決定された。

成り行きで私が大会実行委員長を引き受けることとなり、大会のスローガンをどうするか、統一論題をどうするか、を考えなければならなかった。その時、私の頭には二人の人物の言葉が浮かんできて外せない概念だと強く思った。

終始拘った概念の1つが「ぬちどぅ宝(命は宝)」であった。これは第40回全国大会の案内でも説明したのでここでは詳細は省くが学徒出陣により「完全に死を覚悟」した学会創設者の島袋嘉昌が最後まで拘った概念であり、この概念は大会第1日目の統一論題に採用された。

もう1つはこれから講演録にて紹介する鶴見俊輔から授かった「間主観性」という概念だった。鶴見の講演会は1988年7月3日、名護市民会館において開催された。当時、20歳になったばかりの私は鶴見という哲学者の講演会とはどのようなものなのか、とても興味があり、ワクワクしながら参加した記憶がある。しかし、当時の私には鶴見が伝えたかったことの全ては理解できなかった。いや、鶴見は難しい表現をできるだけ使わずに丁寧に分かりやすく話してくれたので、全くの意味不明だったということではない。むしろ、色々と深く考えさせられる内容だった。

その講演会において特に「間主観性」という言葉が強く心に残り、今でもそのことを考え続けている。この鶴見による講演会がなければ第40回全国大会の二日目の統一論題は成り立たなかったであろう。それくらい私に今でも強く影響を与えている大事な概念であり、これからも考え続けなければならない概念である。

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