経営哲学
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複数の組織変革の研究意義と課題
小沢 和彦
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2024 年 21 巻 1 号 p. 72-84

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抄録

比較的近年の研究では、組織内で複数の組織変革が行われるケースについて検討されている。しかし、既存研究では複数の組織変革を論じる意義、あるいは、これらの研究の問題点についての検討が不十分である。これらを踏まえ、本論文では複数の組織変革を論じる意義について検討している。くわえて、既存研究の限界を指摘しつつ、複数の組織変革に関する研究の今後の方向性について検討している。

本論文では、複数の組織変革に関する従来の研究として、組織変革の経験に注目した研究、近年のものとして非一貫性に関する研究について論じる。複数の組織変革を論じる意義については、主に近年の研究に注目して検討している。複数の組織変革に関する今後の方向性については以下のように検討している。従来の研究の問題としては、組織変革の経験について素朴な経験のみに注目しており、過去に行われた組織変革とその後に行われた組織変革の一貫性があるかなど「関係性の種類」については検討できていない点が挙げられる。また近年の研究の問題点としては、第1に、非一貫性がみられる際にどのような状況で、あるいはどのようにネガティブな影響を抑えられるか・改善できるかが解明できていない点が挙げられる。第2の問題点としては、同時期に行われる複数の組織変革の先行要因及びそれが別の組織変革に及ぼす影響が未解明な点が挙げられる。このように、従来と近年の研究ではそれぞれに問題点がみられるが、前者は後者に対して、後者は前者に対して示唆を与えられる点を本論文では示し、今後の方向性について論じている。

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