本研究の目的は、現場リーダーと経営トップにおける理念実践を明らかにし、個人と組織の関係性ダイナミズムを検討することである。調査1では、現場リーダー357名の自由記述を共起ネットワーク分析し、法令遵守と社会貢献、人的資源の価値向上、理念に基づく顧客対応、ぶれない判断軸という理念実践の構成次元を抽出した。調査2では、大手製造企業の経営トップへの聞き取り調査及び文献調査から、理念の定義と意味付与、理念に基づく経営と目標管理、意思決定との一体化、リーダーシップと課題認識、という実践を行う上での構成次元が明らかになった。これらの知見を総合すると、組織と個人の関係は、支配・受容、成果交換、価値共創、そして共進化へと展開する多層的なダイナミズムによって成り立っていることがわかった。